「ちょっと〜!ゾロ!待ってよぅ」

「ぁあ?遅ェよ、

「だって、回り見ながら歩いてんだもんっ!ゾロも探したらどうなの?」

「おれはプレゼントなんてもんは用意しねェんだよ」

「え?じゃあ何しに来てんの?」

「てめェが誘ってきたからだろぉがっ!」














☆HAPPY BIRTH DAY 「U」 ☆















「ああ〜もう!なんで忘れてたんだろう!」

「今更言ったってどうしようもねェだろ。

 さっさとウソップ好みのモノ見つけて戻んねェとウソップ帰って来ちまうぞ」

「分かってますぅ!」






今日は4月1日のエイプリルフール。

今日だけは嘘をついてもいい日なのだけれど、

そんなことより今日は大切な、ウソップの誕生日なのだ。




ウソップとは、仲間っていうか、もう親友みたくなってて

チョッパーと一緒にウソップの嘘話を聞くのも、

ルフィとチョッパーに混じってウソップと遊ぶのも、

もうの中で欠かせない日課となっていた。



ナミとゾロには呆れられてても、そんなのお構いなしで

追いかけっこしたり、モノマネごっこしたり。

海賊になってからでも、村に居た頃のようにこんなに楽しく過ごせるなんて思ってもみなかった。

やっぱり、ユーモアがあるウソップと一緒にいると何かと楽しい。

ゾロと恋人という間柄になっても、私はなんら変わらなくて

ウソップが大好きで大好きで。


               




「あっ!!これカワイイ!!」

くいっと、ゾロの手を引いて。

「ねぇねぇ。凄い、キレイな色〜」

「・・・・・・」

「あっ、ゾロ、こっちこっち!ぅわぁ。かわいい!似合うかなぁ」

「・・・・おい」

「きゃあ!ここドスコイパンダじゃない!!このブランド好きなのぉ!」

「お前、ウソップの・・・」

「ぅわぁ、ぅわあ!!」
 
「ウソップ・・・、の・・・」

「これ、くださ〜〜い!!」

「・・・・・・・」
















               



たち遅いわね〜。ウソップ戻って来ちゃうじゃない!」

「大丈夫よ、航海士さん。それより、こちらの準備も終わらせなきゃね」

「ルフィが余計なこと(つまみ食い)しなければ早いんだけどね・・・」               

そう拳を震わしながら、ナミはルフィを睨みつけた。

「もう、ひまへん」

すでにボコボコだった。


「なぁ、なぁ、ナミ!おれは何をすればいいんだ?」

チョッパーがウキウキしながら聞くと、

その言葉を待ってましたとばかりに、おいチョッパー来てくれ!と、サンジからのお呼び。

役立てることが嬉しいのか、チョッパーはニコニコしながら厨房に走っていく。

               

「こっちの準備はもう終わるけど、問題はやっぱりあの二人よ」
               
ナミがうんざりしたように呟く。

はああだし、ゾロは超方向御地で頼りになるかどうか・・・。

 ああっ、やっぱし私が付いていったほうが良かったかしら!」

「でも、二人きりになれたこと、剣豪さんは喜んでた様だし、

 あなたが着いていくって言っても無理だったと思うわ。信じて待ちましょ」

ロビンの言葉に、それもそうね と頷きながら、ナミも準備を再開した。















「ちょ、ゾロここどこ!?」

なぜか人の気配がなくなり、暗い路地に出てしまったとゾロ。

「あ?知らねェ」

「知らないって!ゾロの後付いてったらこんなとこに出ちゃったんじゃない!!

 しかも、もうお金がないし!!!」

「いや、それはおれの所為じゃねェだろ!」

「ど、どうしよう!!時間は大丈夫かな?ぁあ〜〜ウソップ〜、ゴメンね〜〜!!

 このドスコイパンダのTシャツ、二人兼用ってことにしちゃおうかなぁ」

「いや、そこはあげとけよ」

「でもあげてしまうのは惜しい・・・」

「お前なぁ」

「あはは」



               
たく、なんでコイツはこうなんだ。

てか、兼用とか絶対ェ許さねェし。(ソコかよ)




おれはコイツのどこに惚れたんだ?

未だに分からねェ。



でも、




ちらりと隣のを見ると。

肩まである綺麗な髪の毛に、長い睫毛。

白い肌に、ふっくらとした唇。

そのあどけない容姿には似合わず、身体は大したもので。

今日は滅多に着ないキャミソールなんかを着ているせいで、

イヤでも目に入ってしまう胸元。



ぁあ、ヤりてェ。               



ナミなんかしょっちゅうこんな服を着てるが、

やっぱこう思っちまうのはだけで。

それって、やっぱ好きってことなんだろうな・・・。

               
って、おれナニ考えてんだよ!


ぁあ、でも、最近御無沙汰なのは本当で。

つーか、昼間に遊び過ぎなんだよ、コイツは。

そんで夜になると「疲れたから、寝る」だと!?

ふざけんなよ。

こちとら昼間は寝て、夜のために備えてあんだぜ?

               








「ちょっと、ゾロぉ、なに急に黙っちゃって・・・」

・・・」

「ん?」


上目でゾロを見て、首を微かに横に傾ける動作に、ゾロのナニカが切れた。



「どうし」


口を開けるのを待ってましたとばかりに、ゾロが動いた。

「んっ!?」

最初から深く口付ける。

「ぅん、っ・・・!」

急なゾロのキスに抵抗をみせる

けれど、そんなものはゾロにとって抵抗でもなくて、

ただ自分を煽っているとしか思えないものだった。


時間を掛けてジックリとしてやれば、抵抗をする気も失せて、

はゾロにしがみつく様に立っているのがやっとだった。



「ぅん、ぁ、っはぁ、はぁ。も、ゾロのばかっ」

唇を名残惜しそうに離せば、から発せられる抗議の声。

けれど、イヤがってはいない。

そう確信すると、自然にゾロの口角が上がる。




「ん、ぁ」

首筋に顔を埋めてキスを落とす。

ゾロの息も、唇も舌も熱く、それが、の首筋から耳に移動する。

そしてゾロの節張った手が、の胸に伸びる。

優しく包み込んでやんわりともんでやると、の口から切なげな声が漏れた。




と、その時・・・




「あ、お前ェら、何してんだ?」


「「!!?」」





不思議そうな顔をして立っているのは、今日の主役の・・・



「「ウソップ!!!」」

























「ちょっと、遅かったじゃない!!

 あんた達ウソップがまだ戻って来なかったからいいものを・・・・

 って、ウソップ!!!!」

あはは とすまなそうに笑っていると、なぜか機嫌がものごっつい悪そうなゾロの後ろに、

ウソップが不思議そうな顔をして立っていた。






これで、計画していたドッキリ作戦もおじゃんにはなったが、

それでもウソップは心底感動したようで、

目を潤ませながらロウソクを消した。



その後はいつも通りに食事をして、宴会に。


お酒を飲みながら、はウソップの隣に座り、申し訳なさそうに手を合わせた。


「ごめんね!ウソップ!あたしの時にはこんなに良いものくれたのに、

 なのに、あたしは、用意できなくて・・・。」

はウソップからもらった木彫りの首飾りを握りしめながら俯いた。

それはウソップお手製の首飾りで、この船では器用なウソップしか出来ないような、

素晴らしい出来栄えだった。

元から細かいものを作ったりするのが得意なウソップは、

よくみんなの誕生日に手作りのものをあげていた。

何より、ウソップは人が喜ぶ姿を見るのが好きなのだ。


プレゼントなんて、こうして用意してくれるのはウソップくらいだった。

だから、ウソップの誕生日だけでもと、何かをプレゼントしたかったのに。




俯いたまま黙ってしまったの肩を、ウソップは思いっきり叩いて笑った。


「あっはっはっは!なぁに柄にもなくしょげてんだよ、

 そんなこと気にしなくていいんだぜっ?

 おれ様はそんなことで怒ったりしない心の広〜いヤツなんだぜ?」

叩かれた肩を擦りながら、は笑って

「そんなの、あたしが1番良く知ってる!!」

そう言って、お返しとばかりにウソップの背中を叩いた。

一瞬照れたように赤くなったウソップは、それを隠すように

「ふ、ふん!何言ってやがる!お前が知ってるのはおれのたった一部だ!

 本当のおれは勇敢で、お前が知らないような、もっともっと良い男なんだぜ!」 と、踏ん反り返って見せ、

それも知ってるよ!と再び笑顔で返され、また赤くなってしまった。




そして二人でじゃれていると、ルフィも参加し、チョッパーも飛び込んできて、

いつもとなんら変わらないメリー号の風景だ。
















たちはしゃぎ疲れ、そのまま甲板で転がって寝てしまった。

しかし、そこに一緒に騒いでいたウソップの姿はなく、

男部屋の方で、何か鈍い音が響き、誰かの叫び声がしたとかしないとか・・・。











HAPPY(?) BIRTH DAY! ウソップ!!









  end
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 翌日、うそぷぅの頭には大きいたんこぶができていたとか、

鼻はおれまがっていたとか、前歯がなかったとか・・・。(やり過ぎだって)

まぁ、お楽しみを邪魔された誰かさんの仕業でしょう。

てか、これうそぷぅ夢じゃないやん!

後半のちょこっとだけやん!!

でもウソップ愛は注ぎまくったから!!

大好き!誕生日オメデトウ!!!