今日は年に一回の特別な日
だから、今日だけでも一緒に過ごしたいなぁ・・・
*TO DAY*
ここは青春学園のテニスコート。
時刻はもう午後の九時を回っている。
無人のテニスコートを前に、はもうかれこれ三時間は座りっぱなしだ。
毎日自分の部活が終わったらテニスコートに直行していた。
といっても別にテニスに興味があるわけではない。
目的はただ一つ。
学園で生徒問わず教師からも人気があり、の片思いの相手でもある
不二周助の姿を見るためである。
学年も違い、部活でも委員会でも接点がないには
不二は遠い存在だった。
見ているだけで十分。そう自分に言い聞かせてきたのだが、
今日は、今日だけは、不二と少しでもいいから一緒に居たいと考えていたのだ。
だが、いざとなると女子トイレで友達に入れてもらった気合もむなしく
声を掻けるどころか不二に近づくことも出来ずに、今に至る。
「もう・・・、無理かなぁ。」
「何が無理だって?」
「へっ!?ぅわぁっきゃぁっ!!!」
そんなとき、の独り言に返事を返してきたのは、なんと不二周助だった。
もう誰もいないと思っていたは、心臓が飛び出そうなくらい驚いた。
しかも相手はあの不二なのだから尚更だ。
「ふっ、不二せんぱ・・・っ!!?」
パニくるとは反対に落ち着いた声で不二は話しかける。
「君、確かいつも僕達の練習を見に来るこだよね?
こんな時間に何してるんだい?」
「おっ、覚えててくれたんですか!?」
(毎日あんなにギャラリーが居るのに覚えていてくれたなんて・・・っ)
嬉しさと少しの気恥ずかしさでの身体が熱くなる。
「うん。」
そう言って微笑する不二は月明かりと事務室から漏れる微かな光に照らされて、
この世のどんなモノよりも艶かしく綺麗に見えた。
その表情に息を呑む。
「・・・。」
「もう遅いし、帰った方がいいと思うよ。ちゃん。」
「えっ、名前・・・っ!?」
「・・・あぁ、君、海堂と同じクラスだよね?
海堂が言ってたんだ。自分のクラスのヤツがいつも見に来てるってね。」
(っっ海堂っ!!!今この瞬間だけアンタを心の底から讃えるよっ!!!)
が心の中で海堂に土下座していると、不二は再び口を開く。
「今帰るなら送って行こうか?
君の家がどこに在るかは知らないけど、女の子なんだしやっぱり危ないから。」
「!!!?」
(い、今なんとおっしゃりましたか、この人はっ!!
お、お、送ってくって・・・っ、わ、私をっ!!?)
驚きで口をポカンと開けたまま言葉が出ない。
そんなを不思議に思い、不二は腰をかがめ座り込んでいるに顔を近づける。
「ちゃん?」
「へ?・・・っひゃあっ!?」
余りの顔の近さに思わず声を上げる。
それを見ておかしそうに不二は笑った。
「ちゃん顔が赤いよ?」
「せ、先輩が急に顔近づけるからっ。」
はそう言って、慌てて立ち上がる。
「行こうか?事務の先生も帰る頃だし。」
の反応にまだ少し笑いながら不二は歩き始める。
それに黙って着いていく。
街灯が灯る道。
初夏といっても夜は少し冷たい風が二人の身体を撫でる。
不二の髪が風になびく。
その度にチラリと覗くあごのライン。
それをは無言で見つめていた。
不二先輩が私の隣にいる。
こんなに近くにいる。
・・・夢じゃ、ないんだよね?
「ちゃんは好きな人とかいるの?」
急に投げかけられた視線と言葉に、はドキリとした。
「・・・はい。い、一応・・・。」
妖しく光る綺麗な不二の瞳から目を逸らし、は俯きながらそう言った。
その時、不二の目が少し鋭くなったことを、は知らない。
「へぇ、それってテニス部の誰かだったりして。」
ドキィっ!!
「な、なななんでそう思うんですか!?」
分かりやすいの反応に不二は少し苦笑する。
「ちゃんは嘘がつけない性格みたいだね。」
そう言って不二はの髪にそっと触れた。
「!?」
「こんな風に触れさせたりするの?」
不二の声のトーンが少し低くなる。
「ぇえ??」
「そのちゃんの恋の相手に。」
「そんなこと・・っ、ないですよ。一回も。」
の全神経が髪に集中する。
胸の鼓動が五月蝿いほど鳴り響いてる。
言ってしまおうか。
今ここで、不二先輩が好きですって。
だって、こんなチャンスきっともうない。
ここで言わなきゃ、私もう一生不二先輩に告白出来ないかもしれない・・・!!
「不二先輩っ!」
意を決しては口を開く。
「なに?」
の髪に触れていた不二の手が離れる。
「私・・・っ、」
身体がじわぁと熱くなるのが分かる。
緊張で涙が滲む。
「先輩、私っ」
それでも不二を見上げ今まさに告白しようとしたその時、
突然の身体がなにか温かいモノで包まれた。
「ちゃん、その顔は反則だよ・・・」
不二の言葉の意味が分からず、
今の自分の状況を理解したころには、不二の腕にもっと力が込められていた。
不二の胸に顔をうずめ、はこの状況に一人パニくる。
「せ、先輩っ!?」
「今日、ちゃんの誕生日だよね?」
「な、何で知って・・・!?」
それには答えず、不二は続ける。
「おめでとうって、言いたかったんだ。君に。」
そう言って、軽くおでこにキスをする。
ビクッとが反応する。
それを愛しそうに見つめ、
「毎日欠かさず最後まで練習を見てるちゃんを僕もずっと見てたんだ。
君がテニス部の誰を好きでも、君だけは誰にも渡したくない。」
との耳元で囁いた。
「せ・・っ、ぱいっ。」
「その涙はOKって意味にとっていいのかな?」
不二は困ったような笑顔での顔を覗き込む。
は溢れる涙を拭いながら、
何度も何度も頷いた。
ねぇ不二先輩
今日という日が終わってしまっても、
ずっと傍に居てくれますか?
今日という、特別な日が終わってしまっても
不二先輩と一緒なら
きっと毎日が特別な日・・・。
☆ HAPPY BIRTHDAY☆
end
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ありきたりでごめんなさい(汗)
いや、もうテンパッてしまった。
不二の魅力が十分に出せずじまいで・・・。
難しいよ不二夢!!(ソレばっかだな)
直したいとこ満載だけど愛だけは込めました。
受け取ってください。