ここ最近、自然とアイツの姿を目で追ってしまう自分がいる
どんなにどんなに見つめても、アイツの言動や姿かたちに慣れるわけもなく、
いつでもあたしの心臓は五月蝿く高鳴って、
これじゃぁ夏の日に、休むことなく鳴き続けている虫の方がマシなくらいで
目が合う、話をするなんて以ての外。
アイツの目が見れなくて、あたしは引っ切り無しに首を動かしてしまうし、
口から出る言葉は自分でも理解しがたいものだったりする
そんなあたしにアイツは呆れ顔で一言
「お前って落ち着きねェな」
って、それはアンタのせいだってのっ!!
・・・・はぁ〜、
これって、決定的だよね?
ゾロ・・・
* Remote kiss or ・・・・・? *
「あっつ〜〜〜〜」
この単語を口にするのは、今日でもう何度目だろう。
ギンギンに照りつける太陽を恨めしそうに見上げながら、は呟く。
気温が馬鹿みたいに上昇し始めたのは三日位前のこと。
日に日に暑さは増すし、しかもここは海賊船でクーラーがあるわけでもない。
最初は夏島が近くなってる証拠だなんて騒いでいた船長も、
三日も続けば夏バテ気味で身体のゴムはダラーンと伸びきってるといった感じだ。
チョッパーは元から暑いのは苦手な分かなりキツイようで、朝から氷と戯れている。
もはや敵襲に遭ったって逃げる気力もない。
そんなは甲板に日傘をさして座り込んでいる状態だ。
横にはサンジの特製フルーツソーダ水が入ったグラスと空のグラスが三つ。
「あ〜〜〜〜〜っ」
訳もなくだらけた声が出る。
汗を手の甲で拭きながら、は再びグラスに手を伸ばしストローに口を付ける。
「おいし・・・」
ピリピリとした炭酸が朦朧とした頭をスッキリさせてくれる。
すると、の周りが何かの影で暗くなる。
目の前にはすらっとした足が伸びていて、目線を上げるとそこにはゾロの顔。
「おい」
ピクッ
ぁあ、ここまで反応しちゃう自分がイヤ・・・
は無言でゾロを見上げる。
ゾロはこのクソ暑いときでもトレーニングをしていたらしい。
普通に喋っているようでも、肩で息をしているし、
顔には何筋もの汗が伝っては落ちて、白いタンクトップに染みを作っている。
そんな姿がなんか妙に色っぽくて、吸い込まれるように見入ってしまう。
ああ・・・、
病気だ。あたしは
「な、なに?」
ゾロが再び口を開く前には辛うじて返事を返す。
ヤバイ、このままじゃあたしの理性がヤバイ・・・
「それ、一口くれねェか?」
ゾロの目線はの持ってるグラス。
「は?」
ゾロとこんなに至近距離で話をするのは滅多にない。
というか、このグラスをゾロに渡したら、間接キスをすることになるわけで・・・
「は、じゃねェよ」
と、少し呆れ顔のゾロ。
「え、さ、サンジ君に貰ってくればっ?」
「ぁあ?あのコック、頼むとなにかと突っかかってくるしよ、
ただでさえこの気温でイライラしてんだ。面倒なことはしたくねェ。
・・・・まぁ、イヤならいい」
「あっ、待って!!」
ゾロが自分から離れていきそうになって、は慌てて呼び止める。
「あげるけど、全部飲まないでよ?」
「わーってるって」
は手を伸ばし、ゾロは少し身をかがめる。
大きな節張ったゾロの手と、小さな柔らかいの手の先と先がほんの一瞬、触れる。
「ぁっ」
「あ?」
っっばっ!!バカっ!!!あたしったらなに声出してんのっ!!?
「っははは〜」
と、誤魔化して笑ってみるものの、の顔は熟した林檎のように真っ赤だ。
ヤバイ!絶対ゾロに変に思われてるっ
反射的にゾロから目を離す。
ぁあ〜、余計変に思われるってば〜
少し不安になってゾロの様子を上目で見てみる。
ゾロはから渡されたグラスに口を付けようとするところだった。
さっきの恥ずかしさも頭の片隅に追いやり、ゾロを吸食い入るように見つめる。
あ・・・、
もう少し・・・
-ドクン ドクン ドクン-
あともうちょいっ
-ドクン ドクン ドクン-
わっ、あ、あ〜〜〜〜〜〜〜っ
と、ゾロは邪魔に思ったのかストローを指で反対側に除けて、
直に口を付けてぐびっと中身を飲み干す。
ざ、残念っ!!!
って、あたしは変態かぁっ!!!!
・・・・・・・・ホント、あたしちょっと馬鹿っぽいわ
改めて自分を恥ずかしく思い、はおもむろにゾロから目を離す。
すると急に、腕が掴まれる感触。
驚いて顔を上げると、そこにはさっきよりも近いゾロの顔。
「やっ、あ、ど・・・したの?」
いつの間にかゾロはずっかり腰を床に落としてあぐらをかいて、壁と自分とでを挟んでいる。
「・・・って、全部飲んでるしっ!!」
恥ずかしさを紛らわすためには怒ったような顔をする。
「そんなのあのエロコックにまた頼めばいいだろ。
それより、・・・、お前何見てた?」
「へっ!?」
な、なに!?もしかしてゾロと間接キスだ〜とか考えてたのがバレた!?
そしたらあたしかなり馬鹿っぽいしっ!!
「言えよ。」
ゾロがとの距離を縮める。
ぁあ〜もうっ!顔が近いってば!!!
「な、何も見てないって!」
「ウソついてもろくな事ねェぞ?」
こころなしか、楽しそうなゾロの顔。
こんっの、サドスティック!!!!
「・・・おい、こっち向けって」
「何で?」
「さっきまで見てたのに、今は見れねェってのか?」
「!?」
驚きで反射的には顔を上げた。
その瞬間ゾロが自分の唇をの唇に押し当てる。
「ンっ!?」
突然のことでは硬直したように身体を硬くする。
そしてすぐ離すと、
「目ェぐらい、閉じろ」
と、唇が触れるか触れないかのところでゾロが囁く。
そして再び二人の唇は重なった。
は慌ててぎゅっと目を閉じる。
ちょっ、
ちょっと待って、
ゾロ、知ってたんじゃない!
なによ、からかってただけなの?
何でキスするのよっ?
ぁあもうっ、わけ分かんないっ
「・・・ン、ぁっ」
でも・・・、もうそんなことどうでもよくなっちゃうくらい
ゾロのキスは気持ち良くて・・・
ゾロから開放された時には、の息は絶え絶えで目は少し潤んでいた。
上目で見てみると、ゾロは息一つ乱してなくて、なんだか悔しかった。
「はぁっ、な、何で・・・?ゾロ・・・」
「何が?」
「今の・・・キス・・・」
「聞こえねェ」
「〜〜〜〜ぃ、今の行為よ!行為!!」
そこでゾロはニヤッと笑うと、
「誘ってきたお前が悪い」
と、さも当然というように言ってのける。
「誘ってなんかないっ」
「お前、自覚ねェのか?」
「これっぽっちもないですね」
そう言ってはそっぽを向く。
「拗ねんなって」
「・・・・」
黙りこくる。
そこでゾロは短い溜息をつくと
「お前、最近見てただろ?」
ピクっとが反応する。
「おかげでおれはトレーニングに集中できねェ」
の顔が恥ずかしさで赤くなる。
まさかバレてたなんて・・・
だって、ゾロ一回もコッチ向かなかったし、
気付いてる素振りも何も・・・
「って分かりやすいな。反応が」
「ゾロが分からなさすぎなんだよっ」
「あ?」
「気付いてたなんて知らなかった。」
恥ずかしさで身体が熱くなる。
「なんか、ゾロってあたしからかって楽しんでるだけだろうけど、
あたしは、あたしは・・・っ、本気で・・・」
目の前が歪む。
ぁあ、もう
なんで泣くかな、あたし
「何泣いてんだよ」
そう言って、ゾロがの顔を自分の胸に押し付ける。
言葉とは裏腹にゾロがに触れるときはいつも優しい。
「・・・ゾロ・・・?」
「、ンな顔して、誘ってんのか?」
「なっ」
開きかけたの口にゾロが素早く口付けすると、
「今度からはンな物欲しそうなツラしなくても、
いくらでもしてやるよ」
と耳元で囁く。
もう心臓が五月蝿いどころの騒ぎではない
ゾロにはもう振り回されっぱなしで・・・
けど、これは紛れもなく恋というヤツで
その相手は
意地悪で、マリモヘッドで
怪物みたいに強くて
自信過剰で、
でも
それでも・・・
「おい、」
「んっ」
大好き
end
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はい、偽ゾロでした。
でもこんなゾロも好きなんだぁああ〜っ
マリモヘッド最高じゃんかぁあ〜〜っ
というわけで、ごめんなさいね。ちゃん(汗)
ちゃんを変態もどきにさせちゃって・・・。
でっ、でも、実際ゾロを目の当たりにしたら
それ以上のこと悶々と考えちゃいますよね!!!?
私だけなんてこと・・・ないよねっ☆