* 登下校 - B - *





















「アイツ、なに?」

「ん?」

たった今、口に運んだ玉子焼きを頬張りながら、

瞼をパチパチとさせて隣の男を見る。







ただ今ランチタイム。

30分という微妙な時間。

そんな時間に私とゾロは、空き教室でお弁当を広げている。

それが習慣になりつつある、そんな日、

ゾロはヤキソバぱんにかじりつきながら窓の方をジッと見詰めていた。




「だから、アイツ」

顎で示す方には、元気よく校庭を駆け回るルフィの姿。

「えっ、ゾロ、ルフィのこと知らないの?」

は素早く玉子焼きを飲み込むと、以外とばかりに大きい目を見開かせた。


この学校でルフィのことを知らない人はいないと思ってたっ。



「違ェよ。お前の何なんだって話」

「え・・・・・。私の・・・・、幼馴染だよ?・・・ただの」

「へぇ・・・」

「・・・・・・」

「仲良いんだな、随分」

「ぁあ、まぁね。小さい頃からの付き合いだけど、喧嘩1回もしたことないし、それにルフィって・・・」

「あー・・・いい、話さんくて」

急に、ストップとばかりにゾロが会話を遮る。

「・・・えーなんでよ、そっちが話題振ってきたくせにぃ」

そう言って、ぱんの袋をくしゃくしゃに丸めて、コンビニの袋に突っ込むゾロを、は軽く睨んだ。

すると、ゾロが急に視線を合わせて、

「気分良くねェーだろうが。好きな女がほかの(ヤツ) の話するなんてよ」

そう言うとすぐにまた視線を外す。

「え・・・」











もしかしなくとも、ゾロは・・・・






「やきもちっ!」

「はぁ!?違ェよっ!」

「あははっ。隠さなくてもいいっていいって!」

赤くなった顔を隠すようにそっぽを向くゾロ。

あーもう五月蝿ェなぁ なんて、まだ笑い止まない私を睨みながら舌打ちを打つゾロが、

なんだかかわいくて仕様がなかった。




「安心してっ、ゾロ。ルフィとはキョウダイみたいなもんだし」

そう言って、ゾロに顔を近づけて、無理矢理視線を合わせる。

急で驚いたのか、少し身じろぐゾロに、再び笑みを零しながら、「ねっ」と小首を傾げて。


すると、ゾロの目が急にスっと細まって、

何か違う感覚に、が身を強張せるよりも速く、ゾロがとの距離を詰めた――・・・。


「・・・っ!」









「・・・・ん・・・っ」




















「・・・ぷっ。間抜け面っ」

「っ!!だ、だって!ゾロが、行き成り・・・っ!!」

「ははっ」

「もぉー!ちゃんと予告してよぉっ!」

「あー、おもしれ」

「なによ、もぉーっ!」







いつもしかめっ面のゾロの、こんなにも無防備な笑顔。

自分が、その笑顔を引き出したこと。

自分には見せてくれる、ゾロの素顔の一つ一つに、凄くドキドキする。

凄く愛しいと思う。







これがゾロと私の、初めてのキス。

























放課後。



今日はいつも通り、みっちりと部活がある。

そう思うと少し気が重い。

部活が始まれば、そんな思いは吹っ切れて、終わりまで集中して部活に専念するのだけど。




確か体育館が今日は女子の日だったっけなー。


外日でないとなると、帰りが遅くなるのは容易に想像出来た。

部活前の、ゾロとのお喋りも程ほどに、は部室に向かって急いだ。



靴箱まであと5メートル程のとき、急に腕が掴まれる感覚。

「うわっ!?」

急な引力に前のめりになりながらも、何とか体制を立て直して背後を見ると。

「な、ルフィっ!?どうしたのっ、急に・・・」

そこには、なんだかいつもと雰囲気が違うルフィの姿。

振り向いても、ルフィの腕は外されることはなく、ガッチリとの細い腕を拘束している。


なんか、おかしい・・・・?


「あんた部活は?」

いつもはすっ飛んで行くのに。

そう言う前に、ルフィが口を開いた。


「アイツ・・・」


「は?」


「アイツ・・・・、なに?」











このセリフ、本日二回目・・・・だよね?
























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 ルフィさん不機嫌ですよっvvv(不機嫌ルフィMO☆E!)