「あっ、ゾロ!こっちこっち!」

               「わりィっ、寝過ごした」

               「寝過ごしたぁ?もうお昼の3時だよ?」

               「起きたの2時半」

               「ぅわっ!信じらんないっ」


               そう言っていやぁ〜な顔をしながらも、

               次の瞬間には笑ってる。


               はおれと違って心が広い。

               よく笑うし、よく喋る。

               抜けてるように見えて、意外としっかりしていて、

               頭もいい。おまけに顔もいい。

               
               そんな女が、おれの彼女。               


















               * 間、激情 *




















               「ねぇねぇ!今の女の人、ゾロのこと見てたよっ」

               「どぉせこの髪が珍しいんだろぉよ」
               
               「ちがうよぉ!ゾロがカッコイイからだよっ。だってほら!さっきから通る人が皆・・・」

               「なんでがそんなにむきになんだよ」

               「いや、だってほら。やっぱ、自分の好きな人が褒められるのは嬉しいもんなのよ。」

               「誰も褒めちゃいねェだろ」

               「知らないのはゾロだけナリっ」



               「・・・・誰?」

               「コロ助ナリ」











               







               ほんとに知らないのはおれじゃなく、の方だ。

               さっきから注目浴びてるのだって、コイツの方。

               けど、おれはのように嬉しくなんざ、ちっともならねェ。

               野郎どもがヘンな目でコイツを見る度、ぶん殴りてェ気持ち抑えるのに必死だ。








               「あっ!ねぇゾロ、あれ見て!凄いかわいいっ!!」

               「あ?」

               「あのインナーかわいいっ!ちょっと見てっていい?」

               「つか、あれ下着じゃねぇかっ!」

               「違うよぉ!下着っぽいけどこう、

                ちゃんと上にブラウスとか着て、それでちらっと見せたり・・・」

               「なっ!み、見せたりすんじゃねェっ。」

               「あっ、いや、そういうファッションだから!!今どき普通だってばっ」



               そう言っては笑うが、

               こっちは他人の目にコイツの肌が必要以上に晒されるのは気にいらねェ。




               


               あ〜・・・、なんかおれってホント餓鬼っぽいな。

               まぁ、そんくらい、おれはに惚れてるってことなんだけどよ。






               「あっ」

               おれがぼうっとしていると、またが声をあげる。

               「あ?どぉした?」
               
               振り向くと、の顔はあっちの方向に向き、

               目線の方にいる誰かに手を振っていた。

               「友達か?」

               「うん、そう!同じサークルなの!」

               「へぇ」

               「サンジっていってね、」

               「あ!?男かっ!?」

               「うん」

               「どいつ?」

               「えっ、あの向こうの、青い服の・・・」

               おれの只ならぬ形相に驚いたのか、少しどもり気味に友達を指さす

               その、サンジとかいうヤツがおれに気付く。そして――・・



               フンっ。



               わっ、笑いやがったっ!!!

               なんだあの金髪野郎!!!



               「ちょ、どぉしたのよ!ゾロ!」

               「あの眉毛野郎、ぶっ飛ばしてくる・・・!」

               「は!?ちょっ、ゾロ落ち着いてっ!!待って待って、タぁあ〜イムっ!!」

               「タイムなんかねェ」

               「あ〜、もう!ばかゾロ!!サンジが何したってのよぉ〜」



               多分、に説明したって理解できねェだろうな。

               こんな不快なヤロウはいねェってよ。



               「だぁ〜、もう離せっ」

               「じゃあ、喧嘩なんて絶対やめて。」

               「・・・。」               


               クソっ。

               こんなに必死に言われちゃあな。


               「わぁーったよ」

               「もうっ。喧嘩っ早いとこ、直してよね!

                ゾロと喧嘩なんかしたら相手死んじゃうよっ」

               「おれの怪我の心配じゃねェのかよ」               

               「当たり前っ!・・・でもないけど、さ。」

               「・・・・・。」

               ふぅーっと、一息ついて。

               「・・・悪かったよ」

               「・・・・」

               「なるべくしねェ」

               「・・・なるべくぅ?」

               「・・・ほとんど」

               「よしっ!」

               そう言って、顔上げて、また笑う。



               あ〜、ったくよぉ!

               そんな顔、絶対ェ他の男に見せんなよ。

               特に・・・               


               「あの金髪」

               「サンジ?」

               「ああ、ソイツ。そのサンジってヤツに、あんま近づくなよ」

               「・・・・心配性」

               「用心深ェんだよ。おれは」

               「大丈夫だって。サンジ、女の人には不自由してないから。

                わざわざ私に近づいたりしないって」

               「ふん。どぉだかな」

               「もうっ!いい加減にしないと、そこの喫茶で

                ゴールデンチョコパフェデラックスバージョン(期間限定品)を奢ってもらうことになるわよ!!」

               「なっ!絶対ェ無理っ!!今バイトの給料日前だし・・・」

               「冗談よ。冗談っ!」

               「お前、目が冗談じゃなかったぞ」

               「・・・そう?」








               目だけをこっちに向けて、笑いながらおれの数歩前を行く

               華奢な肩まで掛かる髪が左右にふわふわと動いて、

               その度に、微かにシャンプーの心地良い香りがする。

               時々、おれがちゃんと後に居るか首だけ少し動かして確認して。

               また数歩前を歩く。

               かと思ったら、急に立ち止まって、


               「やっぱ、隣がいいな」

               なんて、指を絡ませながら言いやがる。

               しかも、自分で言って恥ずかしかったらしく、

               の頬は少し紅潮していた。

              


               

               

               あー。

               マジたまんねぇ。



               コイツほど愛しいヤツ、もう現れねェんじゃねェかって気持ちにさえさせる。

               いや、そうであって欲しいと、本気で思うような相手だ。

               ずっと、コイツといてェ。



               コイツも、この関係も、壊したくねェ。

               おれは、この時本気で、そう思った。













                 next

              
               ☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

                嫉妬って、萌えるよね・・・。

                私は嫉妬ゾロ、大好物ですvv