* 「いから感じてろ」 *
















「あ、ちゃん。おはよ」

「おはよー、サンジ」

「今日レポート提出日だぜ?」

「あ〜、なんとか昨日終わらせた。サンジは、・・・・やってるよね」

「まぁな。これでも優等生で通ってるもんでね」

「あはは、優等生!?」



「おはよ、〜」

「あ、おはよ、コニス」








あれから3ヶ月経って、私は普通に大学通ってて。

サンジとは、最初はギクシャクしてたけど、

今では元通り、友達の関係でいてくれてる。






本当に、サンジには「ありがとう」と「ごめんなさい」を

何回言っても足りないと思う。











この3ヶ月の間、サンジを好きになろうかな・・・って、思うときが何回かあった。



だって、こんなにも私を大切に思ってくれる人なんていないと思うから。















でも、やっぱりね・・・・・、



結局は戻っちゃうんだよ。













たった一つの、自分の気持ちに・・・・・。



















+++++


















「お先、失礼しまーす」

「あ、ちゃんお疲れさまー」



バイトを2こ入れた。

ワザと忙しくしてる、とは自分でも思う。









前はゾロが、私がバイトを増やすのをイヤがってて。

自分は「仕送りが少ねェんだよ」とか言って何こも掛け持ちしてたんだよね。












「え〜〜〜。私だって多い方じゃないんだよ?

 部屋代もバカになんないしさー」

「ああ?お前もバイト増やしたらおれら会う時間なくなっちまうだろぉが」


「・・・・・・」

「・・・・・・」

「・・・・ふふっ」


「・・・・・・ぁんだよ?」

「ゾロ寂しいんだ」


笑ながら指さす私を見て、

ゾロが怒ったように眉毛を吊り上げて。

でも顔は真っ赤で。















・・・〜〜ああもうっ!

ほんとにすぐ思い出すんだからっ!



どんなに楽しくて嬉しい想い出でも、

今はまだ辛くなる一方だから・・・。




だから、忘れていたい・・・・・けど、

そんなこと、出来ないって



やっぱりどこかで分かってる。


















この角を右に曲がれば、いつも通りのアパートが見える。

が、の視線は、違うものに釘付けになる。












「ゾ・・・っ」








・・・ロ・・・・・ッ!?
















見間違うはずもない。




ゾロが居る。

その事実を前に、は身体が熱くなるのを感じていた。



頭からつま先まで、全身でゾロを意識している。

けれど、身体の機能は止まってしまったかのように、動いてはくれなかった。









ゾロの方もに気付いたようだった。





近寄ることも、後ずさることもせず、瞬きもせずにじぃっと見詰めてくる

ゾロは表情も変えずに近づいていく。














長いようでとても短いこの距離を、ゾロは一定の速さで進み、

そしてついに、の目の前のところまで来た。


















自分を、殴りに来た相手かもしれないのに・・・・・。

ああ、・・・・どうしよう。




目の前のこの人には、愛しさしか感じられない。


















を目の前にして、ゾロの無表情が消えた。



「・・・・・・・っ」

「・・・・・・・・ゾ」


が口を開いたときにはもう、ゾロの胸に閉じ込められていた。












息が詰まる。


身体が軋む。





それほど強く、強く。













「・・・・・った」

耳元で小さくゾロが囁く。













会いたかった・・・。














には確かにそう聞こえて。

返事を返そうにも、言葉が詰まって何も言えず、

身体を締め付ける甘い痛みと苦しさで喋ることができない。

ただ、涙だけがポロポロと零れ落ちた。





「・・・・・・ゾロぉ」





ゾロの鼓動を間近で感じる。

と、急に顎を持ち上げられ、ゾロの唇が押し付けられる。





「・・・・っん・・」

会えなかった分の想いを、一気にぶつけられるような、そんな激しいキス。

ゾロの舌が歯列をなぞり、の舌を絡めとる。

角度を変える度に、隙間から漏れるの甘い声。

唾液が混じり合い、糸を引く。



「・・・・ん、ゾ・・苦し・・・」



息の出来ない苦しさで、白く細い腕がゾロの胸を力なく押し返す。

唇が離れ、息が触れ合う程の距離で見詰め合うと、が口を開いた。

「・・・ゾロ、部屋・・・・行こ」




























「・・・・ぁっ、ん」



なだれ込むようにベットに向かうと、

二人は再び熱い口付けを交わしながら服を脱ぎ去り、

ベットに沈み込んだの上に、ゾロが覆いかぶさった。

唇は合わさったまま、ゾロの節張った手がの身体を弄る。


「ん、ゾ・・・ロぉ」


の瞳から、涙が一滴零れた。



「・・・・・ごめ・・・んね」




ここまできて謝るなんて、興醒めもいいとこだろうか?

けれど、は言ってしまうのだ。

あのときのこと。


誰よりも深く傷を負ったのは、の方だったから。


ゾロの手の動きが止まり、唇を離してを見詰める。

もゾロの目を見て、

「ごめん・・・」

と、もう1度。

瞬きして、またポロポロと涙がの頬を伝う。



と、ゾロの逞しい腕がを力強く抱きしめた。

の耳に唇を付けるようにして、



「いいから感じてろ」



そう一言囁いて抱きしめる力を少し緩めると、

頬を伝う涙を舐め、ゾロはまた唇を塞いだ。





















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お題のセリフをムリヤリ入れた感が否めません・・・(汗)