* 登下校 - E - *
「ちょっと遅れるわよっ!何してんの!!」
「ん〜〜〜〜」
母に叱咤されながらも、体は鉛のように重い。
どうしても今日、学校に行かなければならないのだろうか?
いや、別に学校には行ってもいい。
けど、行くまでが問題なのだ。
どんな顔して、ルフィに会えばいい?
ルフィは・・・・、一体どんな顔をして・・・・
が重い足取りでいつもの待ち合わせ場所に向かっていると、
ルフィからメールが届いた。
『わるい、先行く』
「・・・・・・。」
ホッとした・・・けど、なんか、複雑・・・・。
私、どこかで、期待してたんだ。
ルフィが、いつもみたいな笑顔で、自分を迎えてくれることを。
結局今日1日、クラスが違うルフィとは1度も会わずに
授業が終了してしまった。
・・・・ルフィ、帰りは一緒に帰るかな。
携帯を引っ切り無しにチェックしてる自分。
ルフィからは、朝以来まだ1件もきていない。
「誰からのメール待ってんだよ」
「っうひゃ!?ビックリしたぁ!・・・なんだ、ゾロっ」
「いや、ずっとここにいたんすけど」
「マジですか?」
「マジで」
「って、ゾロっ!どうしたのその顔っ!」
「あ?」
側からは見えにくかった右の頬が痛々しく赤く腫れていた。
「え、なんで・・・」
自然と携帯をバックの中に押し入れて、ゾロの体に目を走らせる。
服も汚れていて、よく見れば擦り傷が幾つも見つかった。
「喧嘩、したの?」
「・・・・別に、大した事ねェよ」
「だってこんな腫れて・・・」
「いや、痛くねェから」
「・・・・・ゾロ・・・っ」
腕の裾をぎゅうっと握り締めて、自分を心配そうに見つめる大きな瞳。
その瞳を真正面から見つめると、
やはりのことがおれは好きなんだと、ゾロは再確認させられる。
誰にも、渡したくない。
++++++++++
「なんだルフィ、今日朝練か?・・・・にしては微妙な時間だな」
「・・・・エースも今日早ェじゃん。」
「ああ、たまには1限目から出ねェとな。単位もヤベェし」
「そうか。まぁ、おれは気分転換だっ。ただのっ」
「ふぅん・・・」
エースは何かを理解したように苦笑すると、黙って弟の背中を見送った。
ドアが閉まると、
「青いねェ、アイツも」
そう呟いて。
「・・・・・・・・はぁ」
自然と出るため息。
原因作ったのはおれなのに、逃げてるみてェだな。
逃げてる・・・・・。
なにから?
から?
それは、違う。
の気持ちから・・・だ。
ハッキリとした、拒絶からだ。
「・・・・情けねェ」
言葉に出したら、情けなさが倍増した。
キーンコーン カーンコーン・・・
これで合計・・・・何回目のチャイムだ??
まぁとにかく今から6時間目の体育が始まる。
「おいルフィっ、早くしねェと始まっちまうぞ!」
「あー、ウソップ、おれサボるわ。」
「はぁ!?今から体育だぞっ?おいっ!」
いつも人一倍体育を楽しみにしてるというのに、
どうしたというのだろう。
そういえば・・・と、今日一日のルフィの言動や表情が何だか元気がなかったのを思い出し、
今日は大目に見てやろうと、ウソップは軽く溜め息をついた。
「ルフィっ、シャンクスにうまく言っといてやっからな!」
そう言うと、振り向かずにルフィは手を振った。
屋上で寝っころがると、ルフィは静かに目を瞑った。
おれの気持ちは、
おれのへの気持ちは、
自分でも驚く程でっかかった。
今まで、こんなにに近づくヤツをムカつくとも思ったことねェし、
そいつの隣で笑うを、こんなにも奪いたいって思ったこともねェ。
好きなんだ。
好きなんだ。好きなんだ。
おれはが好きでたまんねェんだよ。
奪われたくねェ。ゾロにも、誰にも。
ガコっと、閉めてあったドアが開く音が響く。
ルフィが振り向くと、そこには緑頭の・・・・。
「チっ、なんだよ。先約がいんのかよ」
++++++++++
無理矢理ゾロを保健室に押し込むと、は部活に急いだ。
心配は心配だったが、ゾロは問い詰めても何も言ってくれないし、
部活は最後の試合に向けてスパートをかけている。
一応レギュラーのは練習を欠かせないのだ。
それに、いくら喧嘩の傷でも、保険医のカヤさんは優しくて、
他の先生に告げ口するような人ではないし。
走っていると、携帯のバイブ音が鞄の中から聞こえてきた。
焦りながらも携帯を開いて見ると、
それはルフィからのメールで、そこには・・・・
「え・・・・・」
の走る足が止まる。
『おれ、もうと帰ったりすんのやめるわ』
「・・・・・ル、フィ・・・っ」
携帯を握るの手が、微かに震えた。
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自分で書いといてなんだけどルフィとゾロが仲悪いなんて有り得ない!
でもパラレルだからっ!!
パラレルはなんでも有りだからっ!!
みなさんもそう言い聞かせながら読んで下さいっ。
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