* 「好きにしろ」 *
「・・・・うん、だからね、・・・・・うん、・・・ほんとゴメンって。
サークルの皆と盛り上がっちゃって、今日はちょっと、無理。
・・・・・うん。・・・だって時間も時間だし。
う〜ん・・・、ゾロがもう少し早く電話くれてたら行けたんだけど・・・。
あっ、うん。あはっ、いないいない。ほとんど女の子。
うん、うん。大丈夫。あ、いいよ。心配いらないから。
・・・・じゃあ、終わったらメールするから。・・・うん、ほんとゴメンね。うん、ばいばい。」
Pi。
「ふぅ〜・・・」
長かった・・・。
ウソついてるって訳じゃないけど、やっぱゾロからの誘い断るのは胸が痛むな〜。
これで、サンジがいるなんて知ったら・・・。
怖すぎ・・・。
これだけは絶対バレないようにしなきゃ。
でも、何でそんなにサンジ毛嫌いするんだろう?
「あっ、!遅〜いっ」
「ごめんごめんっ、ちょっとね」
「なぁに?彼氏からの電話〜?」
「あっ、知ってる!の彼氏凄いかっこいいのよっ!ちょっと無愛想っぽかったけど」
「見た見た!顔は怖いけど、かっこいいのよね!!」
「ちょっと〜!みんな一言多いわよ!ああ見えて優しいとこあるんだからね!」
その後は酔っ払ってる友人に囃し立てられて。
やっぱり、「かっこいい」って言ってもらえるのは
嬉しいな〜などと思いながらつまみをつまんでいると、
「おれも見たぜ、ちゃんの彼氏」
と、いつの間にかサンジが隣に。
「ぁあ、あの時はちょっと・・、ごめんね」
「ん?」
「あ、いや。なんでもないの、うん」
よかった。
サンジはゾロの威嚇に気付いてなかったんだ。
「それよかさ、おれ、あんときかなりショックだったんだよな〜」
「どうして?」
「ん〜?だってさ、おれちゃんのこと狙ってたのにさ〜。
あの緑頭に先越されちまった」
「サンジく〜ん、酔っておいでですか?」
「ま〜な」
「私、酔っ払いの戯言には耳を傾けませんからねっ」
そう、意地悪く舌を出して軽くサンジを睨んだ。
そうするとサンジはぶはっと笑って、
大袈裟に謝るフリをする。
「もぉっ!サンジく〜ん。狙うならあたしが食べ頃よ〜」
「じゃぁ、おれがっ!!」
「あ、食べ時過ぎたわ」
「あっはっはっ!!」
「ヒッデェ!」
女子7人。男子4人。計11名。
決して多い人数ではないけど、はこれで楽しくサークルをしていた。
メンバーも良い人たちばかりで、
中でも、気の利いて、優しいサンジなんかは男性メンバーのなかではよく喋るほうだ。
ゾロも、少しくらいサンジのこと分かってくれたらなぁ、と、
知らず知らずに溜息をついていた。
そこを見逃さない、サンジ。
「どうした?ちゃん」
「ん、・・・なんでもない」
「全然飲んでないじゃん。具合でも悪い?」
「あ、違うの。お酒は私、あんまり飲めなくて」
「・・・へぇ」
「うん、だから具合も悪くないしっ!ただ、」
「ただ?」
「う〜〜」
「おい、どうした?ちゃん」
「っやっぱり、私今日は・・・」
「だ〜め!」
「きゃあっ」
勢いよく立ち上がろうとするを、サンジが強制的に腰に手を回して、座らせる。
「あーっ!おいサンジセクハラだぞっ、今のぉ!!」
「さ、サンジっ!?」
「いやね、せっかく初めてちゃんと飲めるのに、
早々手放してたまるかってね」
「あ、そうそう!ってそういえば何かと夜は付き合い悪いしね〜」
「つか、サンジもだよな。付き合い悪いの」
「ああ、だってこの時間おれほとんどバイトだし」
「じゃあ、全員が集まったのって、今日が初めてじゃん!」
「記念記念っ。おい写真撮ろうぜ!」
帰るに帰れない雰囲気。
・・・・・まぁ、いいか。
今日はみんなと楽しも。
そう気分も新たに、は座りなおして。
「ちょっと、っ。撮るわよっ」
「ぇえ?もう!?」
「ほら、ちゃん、こっち」
サンジがに手を差し出し、少しが躊躇うと
強引に腕を掴んだ。
「わっ!」
その勢いでがサンジの胸にスッポリ収まる形に。
『カシャッ』
***
「じゃぁね。おやすみ〜」
「、真っ直ぐ帰んなさいね〜!」
「あははっ。それはコッチの台詞!」
今現在、深夜の12時。
あれからもう4時間も経過していた。
飲んではいないけど、さすがに歩いては帰れないだろうと、
タクシーを呼ぼうとした時、
プップー
と、クラクションの音。
「ちゃん、乗せてってやろうか?」
「サンジっ!え、だって飲酒う・・」
「まぁ、硬いこと言うなって」
「〜、死ぬ時は一緒よ〜」
思いもかけず、乗り込んでいた2名ほどの女子が、窓からひょっこりと顔を出す。
「私たちも乗せてってもらうことにしたの。こんな時間だとタクシー代だってバカにならないし。」
「コニスまで〜・・・」
しっかり、おっとりのコニスまで乗っていることに、少しの驚きを覚え、
目線は再びサンジに向けられた。
「それより、サンジは迷惑じゃ・・・」
「レディを夜道に一人で歩かせるなんて、どうせおれには出来ませんからね。」
そのいかにも彼らしい台詞に微笑みながら
「・・・・安全運転、心がけてね?」
と、念を押す。
「あいあいさー!」
そして、は唯一空いている助手席に乗り込んだ。
***
・・・・遅ェ。
ちょっと遅すぎねェか?
先ほどから携帯をイジってはメールの確認をしているゾロ。
TV画面には、ほとんど頭に入ってないながらも、
先ほどから消せずにいる下らない深夜番組が映し出されていて。
ゾロが座っているその横には空になったビールの空き缶が数個、転がっていた。
のやつ、メール忘れてんな。
あー、でもおれからメールっつぅのもな。
・・・もう寝てるかもしんねェし。
そう思ったとたん、ふっと苦笑する。
前、に言われたこと、気にしてんのか?
なんだかんだ言って、まだ自分だけの気持ちを押し付けていないことに、
ゾロは少し安堵する。
「トレーニングがてら、アイツん家行ってみっか。」
ゾロはウォークマン片手に背伸びをしながら立ち上がると、
ドアのノブに手をかけた。
ただ、のアパートの部屋の明かりを確認したら
そのままUターンして戻ろうと、そんなことを考えながら。
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テーマと話合ってないよね。(汗)
どっちかっつーと次の話が「好きにしろ」的になるかと。
さっすが☆計画性のかけらもないもちょこさまだぃ!!(苦笑)